高齢者の被害
なぜ、高齢者が狙われるのか?
ア 病気や加齢による判断能力、理解力や交渉力等の低下。
イ 周囲に相談相手や話し相手が少ない。
ウ 自分の今後の財産に不安があり、資産を増やしたいと思っている。
エ 営業員に対し断ることが出来ず、その場を逃れたいがために契約をしてしまう。
オ 他人に優しくされると、その人を信じてしまう。
成年後見制度の補助の活用
補助では、その開始とともに本人に補助人が付され、同時に本人の選択した重要な行為の一部について、補助人に同意権を付与することが出来ます。
その選択した重要な行為の一部について、補助人の同意なしに本人が行為をした結果、本人の不利益になるときは、補助人からでも立証なくしてその行為を取消すことができるのです。この取消権は、時効にかからない限り行使できるためクーリングオフの制度と比べても、使い勝手の良い制度といえます。ただし、日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については、取消しの対象にはなりません。また、補助人が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができません。
補助の審判を受けることによる資格制限は、何もありません(後見や保佐についてはこちら)。また、費用も後見や保佐のように鑑定をする必要がないので、本人申立であれば2万円程度あれば十分です。
なお、任意後見制度では、任意後見人に代理権を与えることは出来ますが、同意権・取消権を与えることは出来ないので、消費者被害などの予防にするには十分ではありません。
補助人の職務
法律で規定されている重要な法律行為とは、「借財又は保証」、「不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為」や「新築、改築、増築又は大修繕」などがあり、訪問販売による契約の締結やクレジット契約の締結は、「不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為」に該当します。
補助開始の申立て手続き
申立人になることが出来る人は
本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市町村長、後見人等
本人による申立てが原則であり、本人以外の者が申し立てるときは、必ず本人の同意が必要になる。したがって、本人の理解と納得がなければ申立て手続きを進めることは出来ない。
補助人になることが出来ない人は
@未成年者
A家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
B破産者
C本人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
D行方の知れない者
代理権・同意権付与の申立て
申立人は、補助開始の申立ての時に、代理権又は同意権もしくはその双方の付与の申立ても同時にすることになる。本人以外の者が申し立てるときは、本人の同意が必要になる。
法定後見申立てに必要な書類(東京家庭裁判所の場合)
1.申立てに対して作成する書類
@申立書
A申立事情説明書
B親族関係説明図
C後見人等候補者事情説明書
D本人の財産目録及びその資料(預貯金通帳の写し、不動産登記事項証明書等)
E本人の収支状況報告書及びその資料(領収書の写し等)
2.本人に関して収集する書類
F戸籍謄本
G住民票(世帯全員、本籍続柄付き)
H登記されていないことの証明書
I成年後見用診断書、診断書付票
3.申立人に関して収集する書類
J戸籍謄本(本人との関係がわかる必要有り)
4.後見人等候補者に関して収集する書類
K戸籍謄本(申立人と同じ場合は不要。)
L住民票(世帯全員、本籍続柄付き)
5.親族
M同意書
申立時に納める費用(東京家庭裁判所の場合)
名称 | 金額 |
収入印紙(申立費用) |
800円 (代理権付与する場合 +800円) (同意権付与する場合 +800円) |
収入印紙(登記費用) | 2,600円 |
郵便切手 |
500円×4枚 100円×5枚 80円×20枚 10円×20枚 |
鑑定費用 (後見・保佐の場合) |
5〜10万円程度 |